「脳腸相関」という言葉をご存じでしょうか?
腸と脳は神経やホルモンを通じて密接に連携し、お互いに影響を与え合っています。例えば、強いストレスを感じると脳が腸に信号を送り、腸の動きに変化が生じることがあります。また、腸の異常が脳に伝わり、不安感や気分の落ち込みを引き起こすこともあります。
近年の研究では、腸内細菌のバランスが「脳腸相関」に深く関わっており、腸の健康状態がうつ病や認知症の発症・予防に影響を与えることが明らかになってきました。特に便秘により腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸が減少し、腸内環境が悪化すると、酸化ストレスが高まり、認知症リスクが増加する可能性が指摘されています。
実際、国立がん研究センターのJPHC Study(約42,000人を対象とした大規模研究)では、「普通の便」に比べて「硬い便」の方が認知症リスクが高く、男性で約1.3倍、女性で約1.2倍、さらに「特に硬い便」では男性で約2.2倍、女性で約1.8倍リスクが高いことが報告されています。
便秘を予防・改善するためには、食物繊維や発酵食品を積極的に摂り、腸内環境を整えることが大切です。しかし、便秘が長期間続いたり、急に悪化した場合は注意が必要です。特に大腸がんが原因で便秘が起こることもあり、早期発見・治療が重要です。
「便秘が気になる」「最近腸の調子が悪い」と感じる方は、大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。大腸カメラは、大腸がんや前がん病変のポリープの早期発見に有効であり、健康を守るための大切な検査です。
腸を健康に保ち、心身の健康をサポートしましょう。何か気になる症状があれば、お気軽に当クリニックまでご相談ください。

桜をクリニックの待合いに活けていると、患者さんから「春ですねぇ。」と声をかけていただきました。お花見に行けなくても、少し飾っておくだけで春を感じることができます。