帯状疱疹ワクチンに「認知症予防」の可能性があるって本当?

近年、高齢者の健康を守るうえで注目されているのが「帯状疱疹ワクチン(シングリックス)」です。このワクチンは、帯状疱疹の発症や重症化を防ぐために使われますが、最近の研究で「認知症の予防にもつながるかもしれない」という報告が増えてきました。

■ シングリックスってどんなワクチン?

シングリックスは、50歳以上の方を対象とした不活化ワクチンで、帯状疱疹を約90%の高い確率で予防できるとされています。帯状疱疹は、子どものころにかかった水ぼうそうウイルスが、年をとって免疫力が落ちたときに再活性化して発症する病気です。痛みが長引いたり、顔面神経麻痺を引き起こすこともあり、重症化すると生活の質が大きく下がることがあります。

■ 認知症との関係は?

海外の研究によると、シングリックスを接種した人は、認知症を発症するリスクが10〜20%ほど低くなったという結果が報告されています。

■どうしてそんな効果があるの?

・帯状疱疹ウイルスが神経の炎症を引き起こすことが、認知機能の低下に関係している可能性がある
・ワクチンによってウイルスの再活性化を防ぎ、脳の炎症を抑えることで神経を保護する可能性がある

■ どんな人におすすめ?

・50歳以上の方
・免疫力が低下しやすい方(糖尿病、がん治療中、ステロイド使用中など)
・認知症の家族歴があり、予防に関心のある方

■ 接種スケジュールと費用について

● 接種回数と間隔
・2回接種が必要です。
・1回目と2回目は、2か月以上あけて行います(通常2か月後、最長で6か月以内に2回目を完了)。

● 接種費用
・1回あたり22,000円(税込)
・高槻市の助成対象の方は、自己負担額が11,000円/回(合計22,000円)になります
※高槻市では令和7年度〜11年度の経過措置として、65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳の方が対象となります。対象者は生涯で一度だけ助成を受けられます。

■ 接種後の副反応について

シングリックスは不活化ワクチンであり、ウイルス自体は体に入りませんが、免疫反応を強く引き出すために副反応がやや出やすい傾向にあります。

よくある副反応(接種後1〜3日以内にみられることが多い)
・注射部位の痛み・腫れ・赤み:約70〜80%
・筋肉痛・倦怠感・頭痛:約40〜60%
・発熱・悪寒:約20%前後
※多くは軽度で数日以内におさまりますが、まれに強い痛みや発熱が出る方もいます。

■ 最後に

現時点では「認知症予防ワクチン」としての公式な認可はありませんが、帯状疱疹の予防という本来の目的に加えて、認知症リスクの低下という“副次的なメリット”が期待できるのは大きな魅力です。
ワクチンの効果や対象年齢、費用の助成などについて詳しく知りたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。