最近、健康診断で「肝機能障害」と指摘されて当院にご相談いただく方が増えています。肝機能障害には、脂肪肝やウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、さらには薬剤性肝障害など、さまざまな原因があります。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、症状が出にくいため、健康診断で異常が指摘された場合は、血液検査や超音波検査による精密検査をおすすめします。
肝機能障害と関連する主な疾患について
1. 脂肪肝
脂肪肝は、肝臓の細胞に中性脂肪が蓄積する状態で、特に男性の30~50代では約20%以上、女性は40代後半から増加します。脂肪肝は「アルコール性脂肪肝」と、生活習慣に関連する「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」に分類されます。NAFLDが進行すると「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」に発展し、年間5.29人/1,000人の割合で肝がんに進行するリスクがあります。
2. アルコール性肝障害
アルコール性肝障害は飲酒による肝機能障害で、禁酒により改善が期待できます。しかし長期間飲酒を続けるとアルコール性肝硬変に進行する可能性があり、肝がん発生のリスクもあります。
3. ウイルス性慢性肝炎
日本で多いのはB型肝炎とC型肝炎です。B型肝炎は約110~140万人、C型肝炎は約190~230万人の持続感染者がいます。肝炎ウイルスに感染すると肝硬変や肝がんのリスクが高まるため、早期の発見と治療が重要です。
4. 自己免疫性肝炎
自己免疫性肝炎は、免疫細胞が自分の肝細胞を誤って攻撃することで発症します。日本では約2万人が罹患しており、特に50歳前後の女性に多く見られます。
5. 原発性胆汁性胆管炎
原因不明の胆管障害で、主に女性に多く、日本では約5万人が罹患しています。進行すると肝硬変や肝がんのリスクが高まります。
6. 薬剤性肝障害
薬剤性肝障害は、処方薬や市販薬、サプリメントが原因で発症します。投薬後すぐに症状が出る場合もあれば、長期間服用後に出ることもあります。疑われる場合は速やかに服用を中止し、医師に相談することが大切です。
肝機能障害と診断されたら
肝機能障害が疑われたら、症状がなくても放置せず、早期の精密検査が重要です。当院では血液検査や超音波検査を行い、生活習慣改善や治療のアドバイスを提供しています。お気軽にご相談ください。